ACT04.ひねくれ者

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  「あ、太陽? 早速原稿三つチェック終わったから、補正も含めてデータ返しておいたよ。White1とRed1の広告、あれ、太陽がデザインしたんでしょ? 流石、ホントに素敵だね! 残りのチェックも仕事の合間見てやっておくから」 『ああ、助かる』  彼はそれだけ言うと、ガチャ、と受話器を置いたので内線が切れた。余計な会話をしている暇は無いらしい。  乱暴に受話器を置いた太陽は、椅子に凭れて目を閉じて目頭を揉んだ。突然の大口広告契約が舞い込んできたものだから、一昨日から色々な作業に追われ、大変疲れが溜まっている。  しかし今の一言で気分が軽くなり、やる気が湧いてきた。嬉しくて、思わず口角が上がった。我ながら現金だと思う。 ――あれ、太陽がデザインしたんでしょ? 流石、ホントに素敵だね!  先程の早紀の言葉が蘇った。  綺麗なのは当然だ。  White1のデータの女性は、早紀をイメージして作ったものだから。  彼女が目を閉じて手を伸ばしたら、きっとこんな風に絵になると思ってデザインしたのだ。 「・・・・どうして、結婚してんだよ・・・・」思わず呟いてしまった。  早紀の事を考えるとイライラして、さっき吸ったばかりだというのに再び煙草に火をつけた。苦しいくらいに息を吸い込んで、深く長いため息を吐くように息を吐き出した。
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