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煙草を吸いながら考えた。
早紀のメイド姿の写真は、どうやったら見る事が出来て、どうやったら手に入るのだろうか、と。
あの言い方では、百パーセント自分のスマートフォンに自撮りの早紀のメイド写真が届くとは思えなかった。だったら、見たいから見せろとでも言えば、彼女は素直に送ってくれるのだろうか。
点数をつけてやると偉そうに言ったが、そんなものをつけるまでもない。早紀のメイド姿は、百点以外つけようが無い。一度でいいからメイド姿の早紀にご主人様と呼ばれ、奉仕されてみたいとさえ思ってしまう始末なのに。
――旦那が、嫁に向かって世界一可愛いなんて言うなよ。早紀は可愛いなんて滅多に言われないだろうから、仕方なく俺が早紀のメイドの写真見て、可愛くて似合ってると、言おうと思ったのに。・・・・このままじゃ、早紀の心に僅かに入る隙もないじゃないか!
「クソッ!」
イライラが頂点に達して、乱暴に煙草を揉み消した。
早紀の事は、早く諦めなければならないことは解っている。でも、どうしても諦められない。
中途半端な時期に入社した太陽に、同じ制作部だからよろしくね、と明るく声をかけてくれたのが早紀だった。たまたま手が空いているからと、親切に社内案内もしてくれ、強面に臆することなく笑顔で接してくれた。太陽って素敵な名前だね、と言ってもらったのは、今でもハッキリ憶えている。
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