ACT05.合コン

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 今日行われる合コンの会場は、個室があるお洒落なイタリアンレストランだった。木造の作りでこだわりの美味いイタリアン料理が食べれると評判の店のようだ。  忍は受付で名前を言うと、予約されている個室に案内された。既に見知らぬ男女が五名到着しており、十名程座れる大きなテーブルに、左右に男女が別れて座っていた。今日の参加人数は、男が四人、女が四人、合わせて八人と守から聞いていた。守はまだ来ていなかった。  しかし、幾ら数合わせとはいえ、既婚者が紛れているのはどうかと思う。結局のところ、騙す事に変わりないのではないか。忍は何だか申し訳ない気持ちになった。幾ら守の頼みとはいえ、やはり断るべきだった。数合わせなら、せめて独身を連れて来るべきだ。連れて来れないなら、人数減ったと正直に言った方がいいのではないか――そう思ったが、自分が独身と仮定してこの場に参加した時、女性側が都合がつかず一人不参加で、四人対三人となると、一人あぶれてしまう。やはりこの場合は、たとえ既婚者でも、参加する数を揃える配慮が優先だと思い直した。  男側に着席し、どうも、と会釈した。男二人は同じ出版社の人間だろうか、忍は知らない男だった。別の会社の人間かもしれない。
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