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――田浦さん、そんな人居ないよー。誰も私みたいな男女、彼女にしてくれないもん。
それを聞いてすかさず、じゃあ俺がなる! と、自分でも驚く程大きな声を出した。
驚いて真っ赤になる早紀に、俺の彼女になってくれませんか、貴女が好きです、と伝えたのは、もう三年も前の事。
それから一年付き合って、結婚して二年。
早紀の事を思い出していると、自分がこんな場所にいるのが酷く滑稽に思えた。
やはり何としても断れば良かった。守には悪いが、見知らぬ女性を楽しませる数合わせにつき合う義理も無い。それよりもさっさと家に帰って、早紀メイドを苛めて愛したい。
「お待たせしましたー。ギリギリになってすみません」
ようやく守が到着した。開始一分前の滑り込みセーフの到着だ。そんな守のすぐ後ろには、見知った姿の女性があった。奈々だった。
今回の合コン、選りすぐりの可愛い女の子と謳う位だ。彼女も参加することになっていたとは、成程、と納得した。しかも奈々なら、自分が既婚者だという事も、数合わせで参加させられているという事も、既に早紀から聞いているだろうと安心した。見知った味方が居るのは心強い。
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