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適当に話を合わせて、殆ど葵が喋るのを笑顔のまま聞いていると、席替えとなった。
くじ引きで席を決めたので、葵とは席が離れた。ようやく少し話が出来るようになったのに、また別の女性と一から話をしないといけないのかと思うと、正直うんざりした。席替えというシステムは、忍にとっては迷惑なものでしかなかった。
くじ引きで忍の目の前に来た女性は、奈々だった。忍はホッとしたが、奈々も出会いを求めてこの場所に来ているだろうから、申し訳ない気分にもなった。
幸い一番端の席だったから、あまり会話に参加しないようにして、存在を消そう。
「忍さん、飲み物おかわりする?」
忍の空のグラスを見て、奈々が聞いてくれた。
「あ、うん。奈々さんありがとう。じゃあ、ウーロン茶に・・・・」
『ダメよ、忍さん。場が盛り下がっちゃうわ。せめてウーロンハイにして』
他の人間に聞こえないように、奈々にこっそり耳打ちされたので、ウーロンハイにすることにした。
合コンというのは色々不自由で疲れるな、もう二度と協力しないぞ、と忍は心に決めた。
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