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「あんまり遅くなると、自宅の近くが結構暗くて怖いので。早めに帰ります。すみません」
「そっか。奈々ちゃんさえ良かったら、俺送っていくけど?」
「守さん、今日は送り狼さんになりそうだもの。遠慮しておきまーす。また次の時、お願いしますね?」
クスクス笑いながら、奈々が言った。男心を刺激するのが巧い。容姿も抜群の上、これだけ可愛い仕草を見せられれば、大抵の男はグラっと心を傾けてしまうだろう。
「うん、次は絶対! 奈々ちゃん、そうだ、連絡先、Line交換しよっ。しつこいメッセージは送らないからさ、たまに飲み誘ってもいい?」
「はい。いいですよ」
「うわあぉー、やったぜー」
他の女性陣もいる手前、大声で言えなかったので守はボソボソと呟いた。
いそいそとスマートフォンを取り出して、奈々の連絡先を聞き出して交換した守は、奈々ちゃんマジカワイイー、よっしゃー、と小声で囁き、嬉しそうにしていた。
「あ・・・・」
奈々がスマートフォンの電源を入れ、守と連絡先を交換した時だった。
キンコン、とアプリ専用の音が鳴ったかと思うと、立て続けにLineのメッセージが入って来て、あっという間にLineのアプリアイコンに、未読メッセージの吹き出しが102と表示された。百二件もメッセージが溜まっているという事だろう。
若干青ざめた奈々に、忍がどうしたの、と声を掛けた。
すると突然、ピリピリピリ、と奈々のスマートフォンが鳴った。
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