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「今回は断り切れずにゴメンね。ホラ、アイツだよ。知ってるだろ? そろそろ結婚したいと焦っている、同期の佐田守(さたまもる)だよ。イイ奴だし、俺、守の事を応援したいんだ。今回、その太陽君のお陰で、選りすぐりのカワイイ女の子が来てくれるんだって。だからどうしてもきちんとした男の人数が必要なんだって、アイツに土下座されて頼まれちゃったんだ。独身誘えばいいのに、そんな事したらライバルが増えるだろ、って。それで俺が行くことに」
「選りすぐりのカワイイ女の子ねー」
思わず嫌な顔になってしまった。忍も独身だと嘘をついて黙っていれば、優しそうな男性に思われ、合コンに参加した女性を虜にしてしまうかもしれない。
忍は自分には勿体ない位の良い夫だ。優しいし、自分だけを大事にしてくれる。
だからこそ、忍を他の女が狙う事を恐れている。
正直、数合わせでも合コンなんて行かせたくなかった。
「早紀、心配しないで。俺が好きなのは早紀だけだよ。この世で一番カワイイ女性は、君だけ」
早紀は危うく飲んでいた味噌汁を吹きそうになった。
忍は天然だ。たまに、こういう恥ずかしいセリフを真顔で吐いてくる。
嬉しいけれど、恥ずかしい。
忍は何時でも、どれだけ早紀を愛しているか、その真剣な眼差しと言葉で伝えてくれる。
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