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ネックレスは高久さんに言われて着けるようにしたが、それを見る度にズキンと胸が痛む。
出掛けてから数日経つが高久さんは登校する時と下校の時は一緒に居たいからと言って送ってくれている。
嬉しいのと同時に申し訳ない気持ちが押し寄せて来て何度も断ったが、その度に不安そうな表情をするので断れないでいた。
「はぁ・・・」
「希望さん?考え事ですか?」
「い、いえ。」
「悩みがあるのなら言って下さいね」
優しく手を握られ思わず手を引くと高久さんは悲しそうな表情で歩き出した。
嫌な訳じゃ・・・・・・無いのに・・・。
貴方を騙しているので罪悪感で手を引いた、なんて言える訳ない。
いつかはバレるのに・・・いつかは言わないといけないのに・・・もう1人の自分が言わないでいれば良いと悪魔の囁きをかけてくる。
「あ、あの!」
「どうかしましたか?」
「・・・・・・っ・・・い、いえ。何でもありません。」
「そうですか」
言えない。言いたくない。
高久さんを騙してたなんて言ったら幻滅して話してもくれなくなる。
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