始まりは、突然に

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明かりがついている部屋にはこれといって特に何も無かった。     別に不良がいたわけでもないし、争ったり暴れた様子もない。       「……ま、こんなもんか」       幹也は自分にそう言い聞かせ、帰ろうとした。       その時……         上の階から何か音がした。         このビルは5階建てで、明かりのついているのは2階だったから、3階から音がするということになる。           幹也は迷わず階段を登り、3階に行った。           「……………真っ暗だ」           何も見えない。       でも、何か音がする……           グチャクチャ       グチャグチャ           (……な、何の音だ……?)           決して聞き心地のいい音では、ない。           段々目が暗闇に慣れてくる。     そして見えた。           音の正体が。             翼が生えた虎が、たくさんの人間を喰っていたのだ。
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