始まりは、突然に

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「セーフ!!」     「残念、アウトだ」       ギネス記録を超えた速さで教室に入った幹也を、担任の上杉が出迎えた。   ちなみに生徒達(幹也)からはハゲ杉と呼ばれている。       「ホラ、早く席に着け」     「クソッ……ハゲ杉が!!」     「隠れて言えよ!」       軽く論議した後、渋々幹也は席に着いた。       これも、もはや日常の一部となりかけている。   そして、今日も幹也の隣の席の生徒が、真っ先に幹也に話し掛けた。       「幹也ぁ、また今日も遅刻ー?」     「違う、これは強者の余裕というモノですよ、秋奈さん」       この女子生徒の名前は、矢野 秋奈。   何かある度幹也にちょっかい掛けてくる女子だ。   きっとオレのコトが好きなんだろう……     と、幹也は勝手に思い込んでいる。   ちなみになかなかモテているようで、ある種の生徒達(幹也ではない)からは「秋奈たん」などの相性で呼ばれている。   もちろん、秋奈は猛烈に嫌がっているのだが。       「なにそれ! 幹也もしかして病んでる~?♪」     「やめてくれ! オレが悪かったから周りに変な噂は流さないでくれ!」     「どうしよっかな~♪」       「おい、そこの2人、喧しい! まだHR終わってないぞ!!」       2人のボリュームの大きい会話に耐えかねた上杉が、声をあげた。       「「チッ、ハゲ杉が……」」       「隠れて言えって!!」       これが、幹也の日常の朝である。
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