360人が本棚に入れています
本棚に追加
「セーフ!!」
「残念、アウトだ」
ギネス記録を超えた速さで教室に入った幹也を、担任の上杉が出迎えた。
ちなみに生徒達(幹也)からはハゲ杉と呼ばれている。
「ホラ、早く席に着け」
「クソッ……ハゲ杉が!!」
「隠れて言えよ!」
軽く論議した後、渋々幹也は席に着いた。
これも、もはや日常の一部となりかけている。
そして、今日も幹也の隣の席の生徒が、真っ先に幹也に話し掛けた。
「幹也ぁ、また今日も遅刻ー?」
「違う、これは強者の余裕というモノですよ、秋奈さん」
この女子生徒の名前は、矢野 秋奈。
何かある度幹也にちょっかい掛けてくる女子だ。
きっとオレのコトが好きなんだろう……
と、幹也は勝手に思い込んでいる。
ちなみになかなかモテているようで、ある種の生徒達(幹也ではない)からは「秋奈たん」などの相性で呼ばれている。
もちろん、秋奈は猛烈に嫌がっているのだが。
「なにそれ! 幹也もしかして病んでる~?♪」
「やめてくれ! オレが悪かったから周りに変な噂は流さないでくれ!」
「どうしよっかな~♪」
「おい、そこの2人、喧しい!
まだHR終わってないぞ!!」
2人のボリュームの大きい会話に耐えかねた上杉が、声をあげた。
「「チッ、ハゲ杉が……」」
「隠れて言えって!!」
これが、幹也の日常の朝である。
最初のコメントを投稿しよう!