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プロローグ
最初に好きと思ったのは、みんなが帰った後も一人黙々とシュートの練習をしていた彼が、流れ落ちる汗をTシャツで拭ったのを見た時だった。
瞬殺とは、こういうことか。
私は、その険しい視線に射抜かれたのだ。
一つ上の兄に頼まれて男子バスケのマネージャーをする事になって二年目の夏。
三年の兄を含めた私達の学校はあと三点差というところで惜しくも全道大会への道が途切れてしまった。
その翌日、あっさりと三年は次世代へと希望を託して引退となり、それと同時に私の想い人は男子バスケ部のキャプテンとなった。
実は……。
まだ、仲の良い兄にも秘密にしている事がある。
その新たにキャプテンとなった彼、芳賀君と私は付き合っていた。
でもこれは、まだ誰にも話してはいない。
親友の加奈にも、だ。
付き合い始めて一年と少しが経つ。
それでもその事実を知っているのは私と彼の二人だけだった。
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