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バイバイ、一方通行の恋。
最後まで片想いのままだった私の事、許してね。
「ねえ、芳賀君。別れよう、私達」
「は?何だよ突然」
前髪の隙間から見せた彼の目は、恋という名の感情を初めて知ったあの時と同じ。
険しい視線が私に刺さる。
違う。
怒らせたいのではない。
ただ、あなたに幸せになって欲しいから……。
「もう、解放してあげるから他の人のところに行ってもいいよ」
嘘、本当は行かないで。
今すぐ否定したい気持ちをぐっと抑える。
「だから何だよそれ。分かるように説明して」
静かではあったけれど、その声は酷く怒っていた。
多分部活でもこんなに感情を露わにした彼を見た事はなかった。
心も指先も凍えるように冷たくなっていく。
怖くて、声が微かに震えた。
「私達が付き合ってるの、誰も知らないでしょう?誰にも言えない仲なら、こんなの付き合ってるなんて言えないよ」
「それは」
「本当は私の事好きでも何でもないんでしょう?いつ別れても良いようにって、だからお兄ちゃんにかこつけてみんなには秘密にしたんでしょう?」
「亜希、違うっ。そうじゃな……」
涙と共に気持ちが溢れる。
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