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「だってあの時私が慰めてって言わなきゃ、私達付き合ってなかったでしょう?芳賀君にとっては、ただの軽口だったのに」
涙はポロポロと止まらない。
「慰めてなんて、あんな事言わなきゃ良かった」
我慢していた感情が堰を切ったように溢れ出る。
「そんな事ない。それのお陰で今俺達付き合ってんだろ。俺の事だって好きになってくれたんだろ?」
「浅はかだった。あの時私、怖がらないでちゃんと告白して振られれば良かったんだ」
戻れる事ならあの日あの瞬間に戻りたい。
「え、振られてたんじゃないのか?毎日溜め息ばっかで凄く落ち込んでたから、俺てっきり……」
泣きながら小さな笑みが漏れ出た。
「芳賀君、私に告白されてないでしょう?私の事振った記憶ある?」
「え?無いけど……」
そう言って眉間にシワを刻む。
「ちょっと待て。お前、亜希あの時って誰を好きだったんだ?」
「何よ、今更。芳賀君に決まってるじゃない」
「……マジで?俺!?何だよ、じゃあ俺、ずっと自分自身に嫉妬してたのか。嫉妬深い男は面倒臭いって姉ちゃんが言ってたから、ずっと問いたださないように我慢してたのに。ああくそっ、こんな事ならちゃんと聞けば良かった!」
嫉妬……。
そんな言い方、まるで……。
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