君の問ふまで

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「最近お前なんか変だぞ。どうした?」 問い詰める彼の厳しい眼差しに、私は笑って誤魔化す。 「ごめん。大丈夫。大したことではないから」 「だったら何で最近溜め息ばっかなんだよ」 私が恋に落ちた時と同じ、その険しい眼つきに私の胸は更にざわつく。 「ごめん、そんなに溜め息多かった?今度から気を付けるね」 やんわりと笑ってその場から離れようとしたのに、彼の腕がそれを許さない。 私の行く手を彼の左腕が阻む。 兄に似た私のタレ眉が一層垂れた。 「もしかして、好きな奴とか?それ系で悩んでんの?」 刹那、私の口から漏れた息が凍った。 「は?何それ」 震えないように、細心の注意を払ってゆっくりと言葉を吐く。 「もしかして……そうかな、と思って」 遮った左手で頭を掻く彼。 まさか、バレていたのか。 いつから? どうして? なるべく彼とは視線を合わせないようにと努力していたのに。 いや、違う。落ち着いて私。 まだ彼を好きとバレたわけではない。
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