人の問ふまで

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人の問ふまで

彼はキャプテンになってから一層モテた。 誰が彼に告白しただの、誰が彼に振られただの。 本人の口から聞かされる事は無かったが、周りの友達は私達が付き合っているとは知らずに楽しそうに一々丁寧に教えてくれた。 その度に嫌な風が心を渡り、私をモヤモヤさせる。 この関係は、本当に恋人と言えるのだろうかとそろそろ疑問を持ち始めた時だった。 見てしまったのだ。 彼が、後輩のマネージャーと顔を赤らめながら楽しそうに笑い合う姿を。 それだけで、私の醜い感情がまたザワザワと風を起こす。 この関係を、早く終わらせなくてはいけないと思った。 彼を解放してあげよう。 その実行の日を、それから三日後の私の誕生日に決めた。 彼にとってはいつもと変わらない、同じ日。 私の誕生日など、きっと気にしたこともないのだろう。 付き合い始めて最初の誕生日も、特に何も無かった。 彼にとってその日は、今もその程度の日なのだ。
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