第一章 十世界の聖剣を手に入れた少女

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「え……? 違うって、何が?」 「それは聖剣じゃねえってことだよ、勇者の姉ちゃん」 「ち、ちょっと、言いがかりはやめてよ!? これは正真正銘、伝説の聖剣! むしろ君の方でしょ、聖剣じゃないのは!」  声を張り上げ、詰め寄るリリス。   無視して放置しても良いのだけれど……勇者だというなら、説明するべきかしら。困ったわね……。  エリオはその問いに答えるかどうか悩んだ。  何故なら──  こいつと喋るの面倒臭いわ……。  リリスのことが心底嫌いになっていた。  でもまあ、悪いやつでは無さそうだし、一応話してあげましょうか。  短いため息をひとつつき、エリオは右手をリリスへと向けた。 「仕方ないわね。説明してあげるわ……プロメテウスが」 「俺かよ!」 「馬鹿ね。当たり前でしょ」 「はあ……しょうがねえな。気は進まねえが教えてやる。一回しか話さねえからしっかり聞けよ」 「えと……う、うん!」  返事をするなり、リリスは律儀に膝を落とし、顔の高さをプロメテウスに合わせた。 「さて、じゃあまず聖剣の概念から話そうか」 「お願いします」 「聖剣ってのは、その世界で最も秀でた力を持つモノにつけられる呼称だ。だから、必ずしも形状が剣であるとは限らねぇんだよ」     
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