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「え……? 違うって、何が?」
「それは聖剣じゃねえってことだよ、勇者の姉ちゃん」
「ち、ちょっと、言いがかりはやめてよ!? これは正真正銘、伝説の聖剣! むしろ君の方でしょ、聖剣じゃないのは!」
声を張り上げ、詰め寄るリリス。
無視して放置しても良いのだけれど……勇者だというなら、説明するべきかしら。困ったわね……。
エリオはその問いに答えるかどうか悩んだ。
何故なら──
こいつと喋るの面倒臭いわ……。
リリスのことが心底嫌いになっていた。
でもまあ、悪いやつでは無さそうだし、一応話してあげましょうか。
短いため息をひとつつき、エリオは右手をリリスへと向けた。
「仕方ないわね。説明してあげるわ……プロメテウスが」
「俺かよ!」
「馬鹿ね。当たり前でしょ」
「はあ……しょうがねえな。気は進まねえが教えてやる。一回しか話さねえからしっかり聞けよ」
「えと……う、うん!」
返事をするなり、リリスは律儀に膝を落とし、顔の高さをプロメテウスに合わせた。
「さて、じゃあまず聖剣の概念から話そうか」
「お願いします」
「聖剣ってのは、その世界で最も秀でた力を持つモノにつけられる呼称だ。だから、必ずしも形状が剣であるとは限らねぇんだよ」
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