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「へえ、なるほど。じゃあ、その最も秀でた力っていうのは誰が決めるの?」
「決めるのは人じゃねえ。世界さ」
「世界……?」
「まあ、人間にピンとくる言い方だと、運命だな」
おおっ、とリリスが感嘆の声を漏らす。
こいつ、宗教とか詐欺とかに簡単に引っかかりそうね……。
エリオがそんなことを考えているとは露知らず、リリスは質問をつづけた。
「聖剣に選ばれる基準はなに?」
「厳密な基準はない。一言に力といっても、それは世界によって種類を変えるからだ。俺のいた世界では、知識が全てだった。軍事力でも、権力でも、暴力でもない。知識こそが、最高の力の象徴だった。だから、無限の学習演算機能を持つ俺が、その世界では聖剣と呼ばれたわけだ」
「ま、待って! 少し待って!」
プロメテウスに手のひらを向け、声をあげるリリス。
「あ? 何だ」
「それ、何かおかしくない? その言い方だと、まるで世界がいくつも存在する――みたいに聞こえるんだけど……」
「ああ、その通りだ。世界はいくつも存在する」
即答するプロメテウスの言葉に、リリスは驚愕を顔に浮かべた。
「そんなバナーヌ……」
「バナーヌ?」
「この世界のギャグだ。察してやれ、エリオ」
「そんなところに能力を使うんじゃないわよ」
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