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対して、プロメテウスは落ち着いた様子で答える。
「確かに言ったが……自分で言ってて気づかねえのか?」
「な、何を?」
「その剣は世界に選ばれたんじゃねえ。ただ、人間に選ばれただけなんだよ」
「──ッ!?」
言葉を失うリリス。
エリオは静かに、答えを待った。
ようやくリリスが口を開いたのは、三分ほど経ってからだった。
「君たちの言い分はわかった──けど、やっぱり納得はできない。何か証拠がほしい」
「……物分かりが悪いわね」
無理矢理わからせてやろうかしら……。
エリオは仏頂面で、リリスにジト目を向けた。
「落ち着け、エリオ。短気はお前の欠点だぞ」
エリオの思考を読み取ったプロメテウスが窘める。
一呼吸置き、プロメテウスは言葉を続けた。
「なあ、勇者の姉ちゃんよ。お前は俺から何か波動のようなものを感じるか?」
「波動……? 何も感じないけど……」
「それが証拠だ。聖剣同士は共鳴する。それは聖剣と、聖剣の所有者にしかわからない感覚だ。俺と一緒にいて何も感じないってことは、その剣が聖剣でないことに他ならないんだよ」
「そ、そんなの納得いかない! それは証拠にならないよ!」
憤るリリスに、エリオが問いかける。
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