10人が本棚に入れています
本棚に追加
「これじゃあ平行線ね。じゃあ、別の視点から話をしましょう」
「別の視点……?」
「ええ。そもそも、どうして聖剣の話をあなたにしたと思う?」
「どうしてって……ウチが君に聞いたから?」
エリオは首を横に振った。
「馬鹿ね、違うわよ。私は聞かれたって基本答えないわ。面倒だもの」
「なら、なんで――」
「それはあなたが勇者で、聖剣の所有者じゃないからよ」
「ど、どういうこと?」
「あなたは勇者だから、当然魔王を討伐しに行くのよね」
「うん、当然だよ!」
「問題はそれよ。あなたが魔王に殺されないように、聖剣の話をしたの。あなたじゃ絶対に魔王には勝てないもの」
顔をしかめるリリス。目を細め、エリオを睨む。
「言ってくれるね。勝てないと言い切る理由は何?」
「……世界は必然でできているのよ」
「え……? 何の話?」
戸惑うリリスに構わず、エリオは続けた。
「力は力を呼び、聖剣と強者は引かれ合うわ。勇者の元に聖剣が無ければ、魔王の元にあるのが――必然よ」
「魔王が聖剣の所有者ってこと?」
「ええ。そして、聖剣使いに勝てるのは同じ聖剣使いだけ。あなたじゃ犬死にするだけだと言ってるのよ」
最初のコメントを投稿しよう!