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「……よくわからないけど、例え魔王が聖剣の所有者だったとしても、ウチは勝ってみせる! この聖剣エクスカリバーと一緒に!」
エクスカリバーの柄を握りしめ、リリスは大声で言ってのけた。
しかし――
「無理よ。あなたがその剣をどう呼ぼうが勝手だけど、世界に選ばれた聖剣には決して敵わないわ。何度も言うけど、聖剣使いに勝てるのは――聖剣使いだけよ」
エリオはキッパリと否定した。
それは、エリオなりの優しさであった。
勝ち目のない戦いで無駄死にさせないよう、できるだけわかりやすく、ストレートにことを伝えたのだ。
押し黙るリリス。エリオも黙って、答えを待った。
これで分かってもらえればそれでよし。でも、もし私の言っていることが分からない馬鹿だった場合は――
「――ごめん」
リリスは──馬鹿だった。
馬鹿で、愚直で、勇者だった――
「君たちの話は面白いけど、受け入れられないよ。だって、ウチは勇者だから。勇ましく、前へと進む者だから!」
リリスは重心を低くし、エクスカリバーを――構えた。
「君が行く手を阻むのなら、ウチは自分の力で切り開く!」
「……全く、本物の馬鹿ね。こんなに馬鹿だと――」
体に教えるしか、ないじゃない――
「来なさい。弐にの聖剣ジークフリート」
エリオの手元に、不滅の聖剣が――発現した。
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