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第三話 エリオ、勇者と戦う
エリオは発現したジークフリートを手に取った。
「おい、本当にやるのか。エリオ」
「ええ。聖剣の力を体感すれば、あきらめもつくでしょ」
「……面倒だと言いつつ世話を焼くとは、つくづくお人よしだな」
「黙りなさい。還元するわよ」
言って、リリスへと視線を向ける。しかし、そこにあったはずの人影が消えていた。
消えた……? どこへ――
瞬間、首筋にひんやりとした何かが触れた。
「ごめんね、速過ぎて見えなかった?」
それは、エクスカリバーの刀身だった。
こいつ、いつの間に……。
リリスは全く突然、エリオの背後から現れた。
不敵に笑みをこぼすリリス。
「どう。少しは見直した?」
しかし、不滅のエリオにも焦りはない。背後から剣を向けるリリスに、涼しげな視線を送る。
「別に」
エリオは瞬時に体を回転させた。峰を返し、ジークフリートを振るう。
――が、刀身は風切音とともに勢いよく空を切った。
「──ッ!?」
エリオは目を疑った。
刀身が触れるその刹那、リリスの体が光に包まれ、消えたのだ。
「こっちだよ!」
背後からリリスの声が上がる。と、同時に鈍い剣戟音が響いた。
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