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エリオが背中に斬撃を受けたのだ。
しかし──
「硬ッ!?」
目を丸くさせるリリス。鉱物でも斬ったかのような感触と、無傷のエリオに驚きの色を隠せない。
エリオはゆらりと身を揺らし、不敵に口元を緩めた。
「手にしている間、不滅の体になる。それが、このジークフリートの力よ」
「……硬い体。なに、服の下、筋肉ムキムキなわけ?」
「聖剣の力だって言ってんでしょ、馬鹿」
「カカカッ。エリオ、お前ムキムキだったのか?」
鬼の形相でプロメテウスを睨みつけるエリオ。
「黙りなさい、馬鹿二号」
「ごめんなさい」
プロメテウスは無い口を噤み、黙った。
「フンッ! ウチは騙されないぞ。不滅とか……そんな滅茶苦茶な力、ありえない!」
リリスが叫ぶ。体が再度光に包まれ、エリオの視界から消えた。
ギンッ――
響く斬撃音。エリオの体に、リリスの一撃が叩き込まれる。
しかし、当然無傷。文字通り、傷のひとつも残らない。
「……本当に硬いなあ」
「無駄よ。諦めなさい」
「諦めないよ。斬れるまで、斬りつづける!」
斬る。斬る。斬る。
リリスは不滅の少女を斬り続けた。
対するエリオは、守らない。反撃もしない。
ただ悠然と、攻撃を続けるリリスを見やる。
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