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「フンッ! ハッタリで動揺させようってったってそうはいかないよ。不滅の力も、光を捉える力も、ウチは信じない!」
「……眼球の一つでも失えば、信じる気になるかしら?」
言って、エリオはジークフリートを片手に構えた。
右手を差し向け、人差し指で「来なさい」と挑発する。
「やってみなよ!」
光となり、突撃するリリス。
その軌道上に、一閃。ジークフートの切っ先が放たれる。
「ッ!?」
リリスはそれを紙一重で躱かわし、エリオの腹部に斬撃を与えた。
しかし、相変わらずダメージはない。何事もなかったように振り返り、悪魔のような笑みを浮かべてリリスを一瞥する。
「よく躱したわね。右目……抉るつもりだったんだけど」
言い終えたと同時に、リリスの頬に赤い線が走った。
真っ赤な血がぽたりと一筋、流れ落ちる。
リリスは戦慄した。
「まさか……本当に光になったウチが――見えているの?」
完全に、ジークフリートの切っ先はリリスの右目を捉えていた。躱せたのは、本当にやるかもしれないと警戒していたからに他ならない。
思わず、エクスカリバーを握る手が震えた。理解できない巨大な何かに絡め取られるような感覚に、リリスは恐怖を覚えた。そして、その感情は相対するエリオにも伝わっていた。
「良い表情ね。私が恐いのかしら?」
「……うん。正直、恐い」
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