第一章 十世界の聖剣を手に入れた少女

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 あまりに率直なその回答に、エリオはキョトンとした顔をした。 「あら、意外と素直ね。勇者が恐いなんて――」 「――でも、ウチは逃げないよ。勇者は恐怖しないんじゃない。恐怖に打ち勝てるから、勇者なんだ!」  歯を食いしばり、足を広げて構えなおすリリス。  その目は、真っ直ぐエリオを見据えていた。  絶対に諦めない――そう言っているようだった。 「……全く。面倒なことこの上ないわね」  眉間に皺をよせ、顔をしかめるエリオ。  倒すのは容易いわ。でも、こいつに必要なのは圧倒的敗北。相手が不滅でも、光の速度を捉えられても諦めない。それ以上の絶望を与えるには、やっぱりあれ(・・)かしらね―― 「おい、まさか神撃(しんげき)の聖剣を使うつもりか? 死ぬぞ、あいつ」 「大丈夫。死なないわよ」  言って、エリオは右手を天に向かって掲げた。 「滅ぼしなさい。(きゅう)の聖剣ゼウス」  エリオが名を呼ぶと、空が明るくなった。  異変に気付いたリリスが天を仰ぐ。  空よりも遥か上の(そら)から、何かが降ってくるとリリスは直感した。 「魔法……?」  しかし、リリスは逃げず、笑みを浮かべてエリオを見据えた。     
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