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「残念だったね。光属性の特殊効果は、魔力の絶対透過――つまり、対魔法無敵だよ! 魔力砲撃は、ウチには効かない!」
「ええ、知っているわ。そんなことくらい」
「へ……?」
光の速度で動き、且つ対魔法無敵という特殊効果。この世界において――否、この世界に限らず、数多の世界を渡り歩いたエリオから見ても、その強さは本物――間違いなく最強種である。
リリス・エンドワーズが弱冠十五歳にして勇者として世に認められたのは、先天的に得ていたこの最強魔法の存在があったからだ。
だが既に、そのことすらもプロメテウスの能力によって、エリオは知り得ていた。
それを知ってなお、ゼウスを使ったのだ。
「その身に刻みなさい。聖剣の力を――」
刹那、天から光が降り注ぐ。
そしてそれは、鈍い重低音と共に、対魔法無敵であるはずのリリスに直撃した。
「――ッ!? うああっ!?」
半径約三十メトラに及ぶその一撃は、術者であるエリオごとのみ込み、周囲の物質を超電導によって蒸発させていく。
凄まじい放電音と、リリスの絶叫が混ざり合う。
その後、十数秒に渡って降り続いたゼウスは、一面を焼け野原と化した。
木々も草の根も残さず、黒焦げになって横たわるリリスだけが、エリオの足元にいた。
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