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第四話 リリス、必然に従う
リリスは地面に這いつくばりながら、苦痛と驚愕と、絶望を味わっていた。
謎の力に、人生初の敗北。現在の状況に、彼女の理解は追いついていなかった。
しかし、リリスは本能で察した。
この子はたぶん……嘘をついていない。
聖剣の存在も、常軌を逸したその力も、エクスカリバーが聖剣でないということも――エリオの語るその全てが事実であろうことを察した。
「さて……戻りなさい、ジークフリート」
エリオがそう口にすると、手にしていた剣が淡い光を放ち、消えた。
確かにウチは間違っていたのかもしれない──
「全く。下らないことに時間を使ってしまったわね」
エリオは首から掛けた古ぼけた懐中時計をワンピースの胸元から取り出し、視線を落とした。
それは、リリスが待ちに待った、千載一遇の好機。
「──だけどッ!」
「……ッ!?」
リリスの身体が光に包まれる。
振り返るエリオの瞳に、リリスの姿は映らない。
何故なら──
「傲ったね……。不滅の剣を仕舞ったのは……悪手だよ」
リリスは既にエクスカリバーの切っ先をエリオの背中に押し当てていた。
光速移動によって、一瞬にしてエリオの背後をとったのだ。
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