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「そんな……」
予想通りの光景に、リリスは心から戦慄した。
「な、なんで……君がそれを持っているんだ!?」
「もちろん、あなたの手から奪い取ったに決まってるじゃない」
少女の手に握られていたもの。それは、間違いなくエクスカリバーであった。
そう。もう一つの異変は、リリスの手からエクスカリバーが消えていたことだった。
「ふざけないで! ウチはこの手でしっかりと握っていたのよ! それを気づかれずに抜き取るなんて、それじゃあまるで時間で……も……」
……待って。そんなことありえる……!?
リリスの頬に一筋の汗が滴る。ゴクンと大きな音を立てて、生唾を飲み込んだ。
「ま、まさか君は……ッ!?」
「正解。止めたのよ、時を――」
エリオは薄い笑みを浮かべ、手に持った懐中時計をリリスにちらつかせた。
「陸の聖剣、星刻のクロノス。能力は――時間停止よ」
「そんな……ありえない」
「あなた言ったわよね? 私の敗因は、あなたを舐めたことだ、と。でもあなたこそ、聖剣使いと聖剣のことを舐めすぎてない?」
リリスはただただ愕然とした。
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