第一章 十世界の聖剣を手に入れた少女

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「そんな……」  予想通りの光景に、リリスは心から戦慄した。 「な、なんで……君がそれ(・・)を持っているんだ!?」 「もちろん、あなたの手から奪い取ったに決まってるじゃない」  少女の手に握られていたもの。それは、間違いなくエクスカリバーであった。  そう。もう一つの異変は、リリスの手からエクスカリバーが消えていたことだった。 「ふざけないで! ウチはこの手でしっかりと握っていたのよ! それを気づかれずに抜き取るなんて、それじゃあまるで時間で……も……」  ……待って。そんなことありえる……!?  リリスの頬に一筋の汗が滴る。ゴクンと大きな音を立てて、生唾を飲み込んだ。 「ま、まさか君は……ッ!?」 「正解。止めたのよ、時を――」  エリオは薄い笑みを浮かべ、手に持った懐中時計をリリスにちらつかせた。 「(ろく)の聖剣、星刻(せいこく)のクロノス。能力(インジェニウム)は――時間停止よ」 「そんな……ありえない」 「あなた言ったわよね? 私の敗因は、あなたを舐めたことだ、と。でもあなたこそ、聖剣使い(わたし)と聖剣のことを舐めすぎてない?」  リリスはただただ愕然とした。     
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