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「いい観点ね。確かに、全員が平等ではないわ。因果律が強いものほど、必然により強く導かれるのよ。国王や英雄、勇者や魔王なんかも因果律が強い存在よ」
その答えを聞いた瞬間、リリスの瞳が大きく見開かれた。そして、食らいつくようにエリオへと視線を向ける。
「君の話の通りなら、ウチは魔王討伐を諦めることになるよね!?」
「ええ。だから、ずっとそう言っているじゃない」
「でも、そうすると変なんだよね」
「何がよ?」
「ウチは負けたし、君の言ってること正しいって、聖剣の話も信じようと思った――けど、魔王討伐を諦めようとは思わなかったんだよね」
「……は?」
「だからね、勝てないとわかっていても、それでもウチが魔王を倒さないといけないって今でも思っているんだよ」
「あなた……本物の馬鹿なの?」
エリオから白い目を向けられながら、リリスは笑った。
「そうかもしれない。でもさ、この場合どうなるのかな?」
「どうなるって?」
「ウチは諦めない。たぶん、この場でどんな目にあっても、やっぱり諦めないと思う。それが勇者だし……」
そこまで言って、プロメテウスが意図を察したように高笑いをあげる。
「なるほどな。リリスを行かせないためにはもはや殺すしかない。でも、それじゃあエリオと出会った意味を否定することになる。カカカッ、こいつはおもしれえ。選択肢は一つしかねえってわけだ」
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