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言い終えたと同時に、手元が光り輝き、一本の細い長剣が発現した。エリオはそれを掴み、向かい来る敵に対し、何もしなかった。
振り下ろされた斧の刃がエリオの肩に触れる。瞬間、鈍い音と共に斧の柄が折れ、全鋼の刃がクルクルと回転しながら弾き跳んだ。
魔物たちが、ありえないものを見るように目を大きく見開いた。
驚くのも無理はない。
エリオは、およそ防具と呼べるものを身に付けていなかったのだ。着ているものは、ただの黒い簡素なワンピースである。
「無駄よ。今の私……不滅だから」
「戯言を!」
闘牛のような雄たけびをあげ、素手でエリオに殴りかかった。
振り下ろした拳がエリオの顔面に直撃する。鈍い音とともに、ミノタウロスの表情が歪んだ。
「グアアアアアッ!?」
「本物の馬鹿ね。言ったでしょ、不滅だって」
「ふ、不滅……だと?」
「そうよ。今のあなたは、オリハルコンを素手で殴ったようなもの。骨が折れるのは当然でしょ」
「――ッ!?」
ミノタウロスが驚愕を顔に浮かべる。
事実、殴った指の骨が三本折れていたのだ。
「訳のわからぬことを。どんなカラクリかは知らぬが、たかが二回攻撃を防いだぐらいで、人間ごときが我ら魔物に勝てると思うな!」
……たかが二回、ね。
「なら、試してみなさい」
「何……?」
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