第一章 十世界の聖剣を手に入れた少女

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「失礼ね。魔物(ばけもの)に化け物呼ばわりされたくないわ」  そのやり取りに、プロメテウスが声をあげて笑う。 「カカカッ。こんな小物どもにいきなり不滅のジークフリートなんて使うからだ。可哀そうに」 「あら、攻撃型の能力(インジェニウム)じゃないだけマシでしょ。第一、他の聖剣じゃ、こんなやつら一撃で死んじゃうわ」 「なんだ、殺しちゃダメのか?」 「馬鹿ね。ダメに決まってるじゃない」  エリオはまるでゴミでも見るかのように、ミノタウロスを一瞥した。  殺したら、利用できないじゃない……。 「あなたたちを殲滅することは容易いわ。でもね、私は優しいの。だから、選択肢をあげる」 「選択肢だと?」 「ええ。このまま私に殺されるか、魔王をここに連れてくるか。選びなさい」 「な……舐めるな、人間! 我々が命欲しさに魔王様を差し出すことなど、断じて有り得ぬ!」  いきり立つ魔物たちに、エリオは深い深いため息を吐いた。  全く……。生き延びる手段を自ら手放すなんて――  「本当に、救いようのない……馬鹿ね」  呟き、右手を天へと掲げた。 「滅ぼしなさい。玖の聖剣ゼウス」  途端に、空が明るくなった。  いや、明るいという表現では語弊がある。  それは目もあけられない程の、煌煌たる光。     
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