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第二話 エリオ、聖剣を語る
魔界。バラライカの森──
「待って、そこの君!」
「──?」
背後から声をかけられ、エリオは振り返った。同い年くらいの少女が腕を組み、仁王立ちをしていた。
こんな所に……人? いや、それよりも――
エリオは目を細め、少女の胸を凝視した。そこには巨大な果実が二つ実っていた。
みるみるうちに、エリオの表情が険しくなる。挙句、少女を無視して歩き出した。
「ちょ、ちょっと! どうして無視するの!?」
「話しかけないで。殺すわよ、デカ乳女」
理由は簡単。幼児体型のエリオは、巨乳の女が嫌いだった。
「……君、女の嫉妬はカッコ悪いぞ」
「失礼ね。嫉妬じゃないわ――って、面白い格好しているわね、あなた」
少女は薄い装甲の鎧を身に纏い、マントを風になびかせ、腰に大剣をぶら下げていた。
エリオの脳裏にとある職業が浮かぶ。
「……勇者なのかしら?」
自然とそんな言葉がこぼれた。
すると、少女は金色のポニーテイルをふわりと揺らし、得意気に笑いだした。
「フッフッフ、よくわかったね! ウチの名前はリリス・エンドワーズ。お察しの通り、勇者だよ!」
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