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そう言って、エリオは指にはめたプロメテウスを見せた。
「え……この指輪が喋ったの?」
「そうだよ。指輪が喋っちゃ悪りいか」
「うわっ、本当に喋ってる!? なんなの、これ?」
「真理の聖剣プロメテウスよ」
「聖……剣?」
眉をひそめ、首を捻るリリス。
「どうみても指輪じゃん。これのどこが剣なの?」
「まあ、確かに剣ではねえな」
「そうね。剣ではないわね」
リリスが訝しそうな顔をする。
「……君たち、頭大丈夫? 剣だと言ったり、違うと言ったり……」
「馬鹿ね。私は剣だとは言ってないでしょ」
「え……?」
「プロメテウスは──聖剣だと言ったのよ」
エリオの言葉に、リリスは目をしばたたかせた。
「えっ、ちょっと意味が……」
「ねえ。それ、少し見せてもらえないかしら」
「それって……エクスカリバーのこと?」
戸惑うリリスに構わず、エリオは腰にぶら下がった大剣を指差した。
言われるがままに剣を引き抜くリリス。
両刃の洋刀。金をあしらった、派手な装飾。絵に描いたような、勇者の剣である。
「これは……」
「伝説の聖剣、エクスカリバーだよ。勇者であるウチにぴったりでしょ」
「違うわね」
「ああ、違うな」
声をそろえる二人。
リリスの頭上にクエスションマークが並ぶ。
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