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焦慮
「その傷はどうしたんだ。あの赤髪にやられたのか?」
「違うよ。」
「じゃあどうしたんだ?」
「どうだっていいだろ!」
俺の怒声が、夜道に響き渡った。
「……なぁ、何があったんだよ。」
なんでこの人は、俺に怒らないんだ。
恨み言の一つでも言ってくれたらいいのに。
「兄ちゃんは、何で俺を迎えに来たんだ。父さんに言われたのか。」
「違うよ、お前が心配で……」
「嘘つくなよ。父さんに言われたんだろ。」
「だから違うって。」
何で、ずっと俺より強いんだよ。
いつになったら、アンタに追いつけるんだよ。
「嘘ついてんじゃねぇよ!」
俺は、ありったけの力で兄に拳を振るった。
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