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「っつ!」
兄が、苦悶を顔に浮かべた。俺は殴り続けた。
「何で!アンタは!そうやって!俺よりいい子なままで!優秀なままで!いつも!」
息が切れるまで殴った。兄は倒れず、かといって俺にやり返すわけでもなく、俺を抱きしめた。
「気は、済んだか。」
そう、俺の耳元で囁くのだ。
俺は、ガキみたいに、声を上げて泣いた。
兄は、俺が泣き止むまで、ずっと背中をさすっていた。
夜の帳が、二人の青年を静かに包み込んでいた。
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