1人が本棚に入れています
本棚に追加
夜陰の中で、どす黒い川が一つの巨大な生き物のようにうねっている。自殺志願者の多くが恐怖で失敗すると聞いた時は、死にたいと願っているのになぜ恐怖に屈するのか不思議だったが、いまなら少し分かる気がする。
そう。人はとかく無力なのだ。
人生の意味すら知らず、かといって自ら命を絶つ勇気もない。
生きて行く意味が、分からない。
毎朝同じ時刻の電車に乗り、高校で授業を受けて、夕暮れ時に帰り、何をするということもなく眠りにつく。そしてまた同じような明日を繰り返すのだ。
大人になってもきっとそうなのだろう。電車で見かける背広姿の大人たちが楽しそうな顔をしているところを見たことがない。
最初のコメントを投稿しよう!