奔走

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奔走

何も、俺は死のうと思ってここに来たわけではなかった。 ベッドに横たわってそんな事を考えているうちに、たまらなくなって家を飛び出してきたのだ。 今は、それを丁度後悔し始めた頃だった。かといって、すごすごと帰る気分にはなれなかった。 しかし、夏の夜はなんだか不気味だ。湿った熱風がさわさわと肌を撫でる。虫たちが闇のなかでうごめく気配を感じる。スマートフォンの画面を見ると、時刻は11時を少し過ぎた頃だった。
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