奔走

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不意に、視界の隅で何かが動いた。 目を凝らす。そのうちに、声も聞こえてきた。男の怒声だ。 一つ向こうの橋の陰に、5、6人の男たちが見えた。そのうちの一人はホームレスで、残りは若者のようだ。 ホームレス狩りだ、と直感した。 気づいた時にはもう走り出していた。 ヒーローになろうとしたわけではない。 ただ、ここで見殺しにしたら、いよいよ自分が価値のない人間になってしまうのではないかと思うと、たまらなかったのだ。
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