奔走

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何度殴られたか分からない。身体中が痛い。血の味がする。 連中は、俺がボロ雑巾になるまで殴り続けた。そのうち、まるで腕白坊主が遊び飽きたおもちゃを捨てる時みたいな顔をして、俺を蹴飛ばして去っていった。 傷だらけで、俺は一人になった。 いつのまにかホームレスもいなくなっていた。きっと上手く逃げおおせたのだろう。 夜空には、ぽつぽつ星明かりが浮かんでいる。しかし暗い。月が出ていないと、これほど頼りないものなのか。俺はなんだか虚しくなった。 ヒーローになろうとしたわけではない。 けれども、精一杯の勇気を振り絞ってこのザマでは、あんまりではないか。 「クソったれがあぁぁ!」 俺の絶叫は、何に届くでもなく、暗闇に圧し殺された。 しかし人間というのは、これほど惨めな目に遭っても、喉は乾くのだ。 俺は大きな溜息を河岸に残して、コンビ二へ向かった。
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