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僕は席を立ち、食器棚を漁った。
おっ、あったあった。こっちの方が食べやすいだろ。
取り出したのは、先が尖っている子供用のスプーンだった。席に戻って、それをあやめへと差し出す。
「これ使って食べるといいよ」
言いながら、スプーンを掴んで食べる仕草をして見せた。
「……ありがとう」
あやめは子供みたいにグーでスプーンを掴み、パクパクと食べ始めた。食べ物を口に入れる度に幸せそうに笑うものだから、僕は自分が食べるのも忘れてその姿に魅入ってしまった。
ああ。なんだかお父さんになった気分だな。
なんて、そんなことを想いながら――
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