23人が本棚に入れています
本棚に追加
第三話 嫁
「がっこう……?」
「そう、学校。同じくらいの年の子が集まって勉強する場所だよ」
僕はネクタイを絞めながらあやめに返事をした。丁度、学校へ行く時間になったのだ。
「わたしも……がっこう行きたい」
「だめだよ。学校は生徒しか入れないんだ。あやめはここで待っていてくれ」
「でも……」
「学校が終わったらすぐに帰ってくるから。そうしたら、これからの話をしよう」
「……うん。わかった、待ってる」
僕の言葉に、あやめは寂しそうに肩を落とした。
ううっ。なんだか物凄く悪いことしてる気分になるな……。でも、んなこと言ってられない、か。
「ごめんな。じゃあ、行ってくるよ」
「……いってらっしゃい」
小さく手を振るあやめに手を振り返し、僕は学校へと向かった。
*
「嗚呼、心配だ……」
学校に着いて早々、僕は頭を抱えた。
よく考えたら、あやめを家に一人で残すのは危険なんじゃないか? あやめは大丈夫と言っていたけど、お父さんが人間界への影響を無視してあやめを連れ戻しに来る可能性もなくはない。もしくは、別の誰かに頼んで連れ戻そうとするんじゃないだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!