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なるべく私情を排して横目で観察を続けながら、原稿を進めることにする。
『赤熱して脈打つ朋弘の◯◯茎は、キラウエア火山大噴火のごとく白濁したマグマを吐き出す。間欠的に射出されるマグマが、礼華の秘められた肥沃な大地を満遍なく覆い灼いていく』
自室以外で原稿を書くとき、特定の用語には文字数に関わりなく「◯◯」の伏せ字を使うようにしている。万が一、上記のような芸術の域にまで高められた文面が、原稿の置き忘れや紛失により公衆の面前にさらけ出されてしまい、幸運にもそれを目にしてしまった誰かの心をざわつかせないためだ。じっくりと読まれてしまえば意味が無いかもしれないが、気休めというか配慮というか、そんなところだ。
重要な一文を書き終えたところで、ふと、隣の二人のこの後を想像する。
――今日はクリスマス。どんなカップルでも特別な何かを期待せずにはいられなくなる夜。雪がちらつき、冬の温度と静寂が徐々に外気を満たしていく。外の空気に無音と孤独が凝縮されていくのと反比例して、二人はますます距離を縮め、期待も安堵も膨張していく。
やがて二人は来たるべきその時を意識する。理性を繋ぎ止める綱が千切れそうになるのを、何度も堪えながら待ちわびたその時を。
甘やかで、幸福に満ち足りた時間に二人は突入する。
今宵の主導権は彼女にあった。自分の体が求めるままに、男に先んじて快楽を貪るのだ。彼女の持つその◯◯器からは◯◯蜜がとめどなく溢れ出し、堂々とそそり立っている大山の頂から麓までをねっとりと湿らせる。彼は息を荒くしながら、彼女がその山を◯◯内に収めてくれるのを今か今かと待ちわびる。
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