ホ猥トクリスマス、肉欲に溺れる。

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「なんと()(わい)な……!」  私は卑猥という言葉をかなり上位の()め言葉として使うのだが、どうやら一般的ではないらしい。クリスマスの夜に、独りでファミレスのハンバーグに向かって耳を疑う独り言を漏らす哀れな男を、憐憫(れんびん)の目で見つめる男女の姿が視界の(はし)に入った。言葉の選び方で私にも落ち度があったとは言え、お楽しみの時間を哀れんで見られるのは心外だ。誰にだって、心(おど)る時間に無意識に反応してしまうことがあるのではないか。そういえば、彼のモノが布を突いて持ち上げ、まるでテントを張ったように盛り上がっているが、それは一体どういう準備なのだろうか。  私がハンバーグを口にする前に、隣の男女のテーブルに料理が運ばれてきた。  クリスマスマウンテンハニーパンケーキは、その名に(たが)わず山のような高さで現れた。座った状態では向かいの席に座る人が隠れるほどだ。商品開発部は、やる気が無いだけではなく、常識のネジがどこかにとんでしまっているようだ。  そんな規格外のパンケーキを前にしても、彼女は驚きよりも嬉しさが勝っているように見えた。スマートフォンを取り出して、カシャカシャーと写真を撮りまくっている。おそらく「見て見て! マウンテンなパンケーキだよ~★(キラキラした絵文字)」とSNSにでも載せるのだろう。ようやく食べる気になったのか、彼女は蜂蜜がたっぷり入った容器を手に取った。
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