一生の不覚

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「課長、この近くに美味しい牛タンの店があるのよ。お腹もすいたし牛タンを食べにいきましょう。そこは私にご馳走させて」  真由美は立ち上がって、俺の腕をとった。 「今度は、豪快に生ビールにしましょう」と、腕を引いて歩きだした。歩いているとき、エレベーターを待っているとき、真由美はしゃべり続けた。俺は真由美がはしゃいでいるように感じた。  俺は、真由美に押し込まれるようにエレベーターに乗った。  エレベーターは下降を始める。俺は、下界のざわめく人々の中に溶け込んでいった。                            【了】
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