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俺は真由美の口の動きを見ている。吸いつきたい気持ちを抑えるのに苦労するほど魅力的だ。
「課長? 恋と結婚を割り切る女をどう思う?」
うーん、どうなんだろう。ちらりと通子のことを考えた。
真由美は返事を待たずに続ける。
「私の最後の恋は課長なの」
真由美の視線は、もう俺から離れない。
もはや明確だ。躊躇することはない。俺も真由美を見る。
「君の想いを叶えてあげることが、僕には、できるよ」
意外とすんなりこの言葉が出てきた。
真由美の表情はほとんど変わらなかったが、微かに目が頷いたように感じた。俺はこの場で真由美を抱きたい衝動に駆られた。それを、かろうじてこらえた。
「ちょっと電話をしてくる」
離れがたい気持ちを抑えて俺は言った。店内は携帯電話が禁止されている。俺は店のエントランスまで動いた。
電話を終えて戻ると真由美はスコッチとジントニックを追加オーダーしていた。
「ごめん」俺は席にかけながら言った。「どこに電話してきたと思う?」。
ニコリと笑ったつもりだが、自分の質問で俺は興奮してきた。
「え? う~ん」
真由美は首をかしげながら腕を組んだ。腕が胸のふくらみが押し上げる。
俺は、視界の隅にそれを捉えたが、視線を移すのは耐えた。
「奥さんかな? 今晩遅くなる、って電話したのかしら」
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