第エヌプラス一夜

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「無理だよ、こんな体じゃ」 「と思うでしょ?」  鬱屈とした俺とは対極的に、姉貴の声はどこまでも呑気だ。 「ま、治るまでの辛抱だ。できること模索してもいいんじゃない」 「はい?」  治るまでの辛抱って、 「まさか」 「早く治したいんならあたしのルーティン崩さないでください。以上!」  俺が何かを言う前に、姉貴はそそくさと部屋を出ていった。  さて、ご飯でも食べるか。  んなことできるか。  姉貴、本気なのか。症例は俺以外にないんだぞ。現時点ではその治療には世間的需要も、研究材料も、ないに等しい。 「あぁもう」  さっき撫でられた頭をがしがし掻く。  姉貴に抱いていた暗い気持ちの残りカスが、ポロポロと剥がれ落ちていく。  あのヤロウ、嫉妬を食いやがった。  コンビニに行けるまで回復したら、おやつを大量に贈りつけてやる。
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