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あぁ、また夜が来た。来てしまった....。
今は太陽が沈み、空にはまん丸の月。でも地面には赤い、紅い月。リンゴのような真っ赤な月。
地面に映る月を私は掴もうとした。しかし掴もうとしても掴めない。
ふと私は自分の手のひらを目にした。その手は赤い。赤く染まっていた。
「また赤い....」
私は立ち上がり辺りを見渡した。そこには死体が散らばっている。体の一部一部が散乱していた。
しかし、私は驚きも、恐怖のあまり腰を抜かすこともしなかった。
わかっている、こんな悲惨な光景はもう見飽きた。
額から一粒の雫が垂れた。
「どうして涙が?」
いつのまにか私は涙を流していた。
これも無意識に流した涙。
この光景も無意識の中で作り上げてしまったものだ。
「こんな光景はもううんざりだ」
ポケットからナイフを取り出し首に当て、素早く腕を引いた。
首からは鮮血が飛び散り、私の意識はだんだんと闇の中へ引きずりこまれ行った。
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