~魔王様からの入電記録1~

7/7
前へ
/7ページ
次へ
「当コールセンターではその日時はお伝えしておりません」 「そうか。それは何故だ?答えよ」 「申し訳ございませんがお客様にお伝えできかねます」 「それは、ワシが転生したり転移した勇者をすぐに殺しにいく、愚かで卑怯な魔王だと思ったからか?」 「全てのお客様にお答えできかねます」 「ほう。では、転移したり転生する勇者が分からぬのはお互いという事か!?」 「申し訳ございませんが、わたくしどもではおこたえできかねます」 再び言い含めるようにゆっくりと直人が言葉を放つと、魔王は「うむそうであったか。なに、お前はそんなに悪い奴ではないな、直人よ」と言ってさも楽しげにガハハと豪快そうに笑った。 「では、貴重な意見ありがとうございました。本日は池田が承りました」 「うむ。直人。そなたには報酬をやろう!」 と言って、魔王の電話は今度こそあっさりと切れた。 その後、直人は気がついた。自分は上の名前しか言っていないのに、魔王は自分を下の名前で呼んだ事に。まさか、本物だったら、お礼まいりとか?とビクビクしていると、ちゃりんという音がして、電話の下から謎の硬貨が出てきた。 まさか、魔王からのお礼か!?直人はもはや、信じるしかなくなってしまった。 このコールセンターが異世界の魔王に繋がっていると。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加