1人が本棚に入れています
本棚に追加
「当コールセンターではその日時はお伝えしておりません」
「そうか。それは何故だ?答えよ」
「申し訳ございませんがお客様にお伝えできかねます」
「それは、ワシが転生したり転移した勇者をすぐに殺しにいく、愚かで卑怯な魔王だと思ったからか?」
「全てのお客様にお答えできかねます」
「ほう。では、転移したり転生する勇者が分からぬのはお互いという事か!?」
「申し訳ございませんが、わたくしどもではおこたえできかねます」
再び言い含めるようにゆっくりと直人が言葉を放つと、魔王は「うむそうであったか。なに、お前はそんなに悪い奴ではないな、直人よ」と言ってさも楽しげにガハハと豪快そうに笑った。
「では、貴重な意見ありがとうございました。本日は池田が承りました」
「うむ。直人。そなたには報酬をやろう!」
と言って、魔王の電話は今度こそあっさりと切れた。
その後、直人は気がついた。自分は上の名前しか言っていないのに、魔王は自分を下の名前で呼んだ事に。まさか、本物だったら、お礼まいりとか?とビクビクしていると、ちゃりんという音がして、電話の下から謎の硬貨が出てきた。
まさか、魔王からのお礼か!?直人はもはや、信じるしかなくなってしまった。
このコールセンターが異世界の魔王に繋がっていると。
最初のコメントを投稿しよう!