夜に奪われる

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夜に奪われる

 あれから毎年この時期になると、あの入り江へと足を運ぶ。  家族で来ても、来なくても。  今年こそはと胸躍らせて。  聞こえぬ歌に、気付かぬふりして。  白と黒の世界に、足を踏み出す。 「海斗の心は、夜に奪われたのだ」  周りがそう話していると、気付くことも、ないままに。
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