黒いドレッサー

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その日、引き取って来た不用品が予想以上に多く、倉庫整理に随分と時間がかかってしまった。 時計を見ると、すでに夜の10時を超えていた。 そろそろ切り上げて、続きは明日にしようか、と思った時、不意に誰かの視線を感じた。 振り向き、辺りを見回したが誰もいない。 後輩の野田は用事があるからと先に帰ってしまったし、他の従業員やアルバイトも時間で帰ってしまった。 社長は、自室で売り上げチェックをしている頃だろう。 だから、倉庫にいるのは俺だけのはずだ。 それなのに、さっきから妙な視線を感じる。 視線の先にあるのは、ただの黒いドレッサーだけだ。
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