4人が本棚に入れています
本棚に追加
すると、野田は糸が切れたようにガクリと頭を垂らした。
「どうして素敵だと言ってくれないの……」
そう言って野田は顔を上げると、鏡を見ながらブツブツと何かを呟きはじめた。
微かに聞こえるのは「アカ」という言葉だった。
鏡に映っていたのは野田ではなく、明らかに髪の長い女の姿だった。
「アカガタリナイ!!」
そう叫びながら、髪の長い女は野田の太ももに刺さったガラスの破片を抜くと、何度も何度も同じ場所を刺した。
足元に広がる血だまりが、さらに大きくなっていく。
「やめろ!!」
俺は叫びながら野田を止めようとしたが、力負けしてしまいガラスの破片で腕を切られた。
傷みで顔が歪み、野田を掴んでいた手を離した。
すると、野田は動きを止め、手に持っていたガラスの破片を床に落とした。
ドクドクと太ももから流れ出る血を両手にベットリとつけると、不敵な笑みを浮かべた。
そして、両手に着いた血を顔に塗りたぐり、鏡を見ながら「素敵な赤」と微笑むと、そのまま気絶をして倒れた。
最初のコメントを投稿しよう!